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2006年5月10日 (水)

5月病

ロブ(以下、R):G.Wも明けて、新入社員、新入生には「5月病」と自己診断しちゃう人が増えて きますよね。この名称は、4月の環境の変化に伴って、5月頃から鬱的症状になる人が多いことから名前がついた一種の鬱状態のこと。もともと五月病は学生に多くみられるもの。厳しい受験勉強を勝ち抜いて、学校に入学。その緊張が連休などで解けてしまい、急激に気力を失ってしまうところから起こることが多い。
 しかし、最近では学生だけでなく、社会人でも多くの人が五月病に悩まされているようです。その原因は、転職する人が増えたことや、不景気で仕事が大変な人などいろいろ。
 とにかく、五月病は学生だけがかかるものではないということは確か。就職したての新社会人はもちろん、何年も勤めている人でも五月病にかかる可能性は否定できないみたいです。
 僕は、5月病には縁遠い人間なんですが、渋井さんはいかがですか?

渋井(以下、S):私も、フリーランスなので、現在は「5月病」とは関係ないですね。ただ、わからなくもないです。大学に入学当初、私は電話魔になりました。サークルの先輩とけっこう長電話ばかりしていました。まだ入会したばかりだというのに。イエデンだというのに、4月と5月は電話代が3万を超えました。
 そのため、電話代を安くするほうほうはなにかと考え、普通なら、通話時間を短くしようと考えますよね?私はそうしなかったんです。当時は東武東上線の若葉駅から徒歩10分ほどのワンルームマンションに住んでいました。電話の相手は都内が多かったので、「そうだ、都内に引っ越そう!そうれば通話時間が同じでも電話代は安くなる」と思って、上板橋駅から徒歩8分くらいのアパートに引っ越します。それだけ、当時の私には電話が大切でした。
 大学卒業後、私は長野県に住みました。新聞社に就職したのですが、当初は知り合いがほとんどいない土地でした。当時の彼女も長野県だったので、会うことはできましたけど、休みが会うことが少なく、コミュニケーションが仕事以外に少なかったので、ちょっと凹んでいました。
 ちょうど5月くらいかな、いまから考えれば、鬱傾向はあったと思います。その時点で精神科に通えば、抑うつと診断されたかもしれません。知り合いほとんどいない土地で、しかも仕事も慣れない。そして、生活も不規則。かといって、その頃は今みたいに飲み歩きという遊びもそれほどしていない。家の中で鬱屈していたのを覚えています。そのとき、その鬱屈のはけ口はまたもや、電話でした。ツーショットダイヤルにはまったわけです。

R:この時期ってのは、雅子様も罹患していると言われる「適応障害」に悩む人が多いんじゃないでしょうか。渋井さんも、大学も就職先もやはり、適応しようという力が必要以上に入っていたんじゃないかな。
 そうじゃなきゃ、鬱屈した気分にはならないでしょう。僕の場合、どこに行ってもそつなく入り込めてしまう器用貧乏なので(笑)、あんまり対人関係、環境で悩むことはないんですよね。
 どちらかというと、「自分の存在の不思議」という実存的問題が絡まってるら、5月病っぽくなっても、学生時代もあんまりこの時期に鬱っぽくならなかった。でも、相談メールは年末、3月、そしてこの時期には多いですね。あとは9月かな。でも、渋井さんは、ツーショットダイヤルで回復したってわけですか?

S:器用なんですか。それは外見的には、うまくやってるように見えるから、周囲には心配されないよね。私も普段はそうです。ツーショットダイヤルなんかやっているようには見えなかったと思いますよ。当たり前ですが、当時の彼女にも隠していたしね。
 電話やツーショットダイヤルだけでは回復しませんよ。さきほどの例で言えば、大学入学のことは、読書をすることで電話魔を抜け出した。当時は社会科学や哲学書(たとえば、『唯物論哲学入門』とか、『賃労働と資本』とかだったかな)を中心に、たまに、『子供たちの復讐』とか『開け!心が窓ならば』等のルポも読みました。法学部生だというのに、法律学はほとんど読んでないんですね。私の場合、そうすることがサークルの先輩とのコミュニケーションを促進したんです。
 就職した時にツーショットにはまったときには、塩尻市に住んでいた当時は、相手に会いました。ときどき、ゲイの人とも会うことになりますが。でも、それまでに電話代がものすごくかかる。だから、プリペイドカードを買ったりしましたが、それも飽きて、niftyのチャットに移行します。午後11時以降の、いわゆるテレホーダイの時間につなぎっぱなしでしたね。ネットを初めて、ホームページを作ったのもこのころです。とにかく、誰かとつながっていたかったんですよね。
 いずれの場合もコミュニケーションを促進することで、誰かとつながっていたいという欲求を満たしていたように思います。
 でも、いま、Yahoo!Japan!で新着特集があって、そこに「5月病を撃退! 心の健康特集」ってありますよね。抑うつ状態になったときに、人はこれまで、自分なりの抜け出し方を探したと思うんです。私の場合は、電話コミュニケーションやネットコミュニケーションですね。いまだとしたら、飲み歩きでしょうか。でも、最近はすべて、「心の病」とかに還元される傾向があると思うのです。斎藤環さんの本のタイトルにあるような「心理学化する社会」だと思うんです。ロブさんはどう思いますか?

R:「心理学化社会」は止まりませんね。臨床心理士も国家資格になるようですし。ただ、マスメディアが「病気の原因にはストレスが…」って言い過ぎなんですよね。そもそも、医学的にストレスのエビデンスってのはあんまりないし、どちらかというと俗語の部類です。うつ状態、不安も、肝臓の悪い人はかなり激しく出る。
 そういう臓器異常からの信号を精神状態がキャッチすることが多いのに、そういう観点から精神科医はあまり見ない。だから、神経症圏の病気が慢性化して心療内科・精神科クリニック乱立のサイコバブルになってしまった。
 実際に、この時期から精神科に受診する人は多いみたいです。自分で解決しようという内発性が子どもの頃からない人が増えてるんじゃないでしょうか。塾講師を始めて、小学生と接する機会が増えてからそう思うようになりました。これは、教育の問題ってより、親のしつけの問題ですね。

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